自閉症と2歳で診断された切り絵作家星先こずえさん・「嫌だ!」が言えない長女(小学校~中学校)

自閉症、姉、我慢 子育て
自閉症、姉、我慢

日本各地で個展を開催している星先こずえさん

2歳の時に自閉症と診断された。

洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。

こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した

自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を

魅力的に表現しているのが、特徴です。

最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが

感じられる作品になっています。

このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った

母薫さんが記録した奇跡の成長記録(嫌だが言えない長女)をご紹介します。

最高のパートナー

長女は、障害児を育てる私の最高のパートナーだった。

主人よりも、そして母親の私よりも彼女は恵子を理解していた。

恵子が何を話しているのかがよく聞き取れない時は、長女が通訳した。

幼稚園や学校での恵子の様子を、知らせてくれた。

反対に、知らせても心配するだけでどうしようもないと判断し、言わなかったことも

たくさんあるだろう。

姉妹で友だちや先生の家へ行くと、恵子が変なことをするので困ったり、

恥ずかしい思いをしたこともあった。

でも、恵子がいるから、それが原因で長女がいじめられるのでのではないか、

と心配することはなかった。彼女は、普通に堂々としていた。

当り前のことだが、私たち親も、長女も恵子が自閉症だからといって

他人の目を気にすることはなかった。

長女は、どこに出しても恥ずかしくない娘だ。

でも、1つだけ心配な点があった。

それは、「子供らしくない。」ことだった。

「いやだ」という言葉を毎日何十回も叫んでいた恵子とは、反対に

長女はその言葉をほとんどは発したことがない。

第一、兄弟げんかが1度もない。幼い頃は、長女が恵子より先に走り出しただけで

恵子は怒ってパニックになった。

長女はその瞬間から、その場で恵子のパニックが収まるのをじっと待った。

私が注意するまでもなく、恵子の姉としてすべてのことに自然に対応していた。

そうしないと家庭生活が成り立たないほど、恵子が立派な障害児だったということでもある。

長女を知る人は、どうしてあんなにしっかりした娘のことを私が心配するのか、

わからなかったらしい。でも、「いつもいい子」なんて不自然だし、声が小さいのも気になった。

長女が中学2年生になったある日、彼女が

「お母さん、友だちのお弁当を見たら、その親がどんな人かわかるよ。」と言った。

「丁寧に可愛らしく作っているお弁当もあれば、せいぜい2種類ぐらいのおかずを

ドサッと入れているお弁当もある。そして、見かけがいいお弁当は、味もいいんだよ。」

私は、長女の鋭い観察に、何も反論できなかった。

私の作るお弁当を、なんとかもっといい物にしたかったけれど、そこまでのゆとりはなかった。

で、また「気持ち」をアピールすることにした。

毎朝、お弁当の反省文を小さな付箋に書いて、弁当箱の中にしのばせた。

「すでにマンネリ化しています。でもボリュームあり。」

「正直言って、ぱっとしません。おばあちゃんが作ったことにして下さい。」

「やっぱりあれは、ミドリ色じゃなくちゃね。バランっていうんだよ。」

こんなどうでもいいコメントを、中学3年生の終わり頃まで2年間続けた。

母親のまなざしを感じて欲しかったからだ。

「いつも、私はあなたを見ていますよ。」とアピールしたかった。

最初の1年間は、これに関して一言も話題にならなかった。

もしかして、彼女は嫌がっているのに、私に何も言えないでいるのではないか、と心配した。

中学3年生になって最初のお弁当の日に、初めてお言葉を頂いた。

「いつも、読んだらサッと隠しているけど、うっかり見られてしまうこともあるんだよね。

見た人は、みんな『いいねぇ』って言ってるよ。」

ということは、本人も嫌でなかったのだ。

私は、安心して、お気楽なセリフを書き続けた。

そして、2年間書き続けたことで、長女が元気になってきた。

学校の合唱コンクールでは、一番前の真ん中で、大きな口を開けて歌っている長女の声が

はっきり聞こえて来た。

恵子が奇跡の成長を見せるたびの歓喜は、腹の底から湧き上がってくる。

しかし、この時長女が与えてくれた喜びは、静かにひたひたと私を包んだ。

恵子ちゃんの成長は、障害児としては奇跡の成長を感じさせてもらった。

言葉には出さない長女の複雑な気持ちを感じつつ、試行錯誤でした行動もどう思っているのかも

わからず不安思いもあったが、長女らしさの表現で気持ちを知ることができた喜びは

恵子さんの成長の喜びとは、また違った喜びだったのですね。

まとめ

薫さんにとって、恵子さんも長女もタイプの違う大切な宝物だったのですね。

忙しい日々の中でも、子供たちの気持ちの寄り添おうとすることは、とても大切なことです。

たとえ、些細な事でもお母さんがしてくれたことは、きっと大人になっても

心にの残ることでしょう!

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自閉症と2歳で診断された切り絵作家星先こずえさん・長女の上手な絵と個性的な恵子の絵(小学6年生~高校)

 

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