日本各地で個展を開催している星先こずえさん
2歳の時に自閉症と診断された。
洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。
こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した
自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を
魅力的に表現しているのが、特徴です。
最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが
感じられる作品になっています。
このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った
母薫さんが記録した奇跡の成長記録(子供たちの愛読書)をご紹介します。
父親が持ち帰った本
長女が小学2年生の時、父親がミヒャエル・エンデの『モモ』(岩波書店)を持ち帰った。
そして、「この本は、いい本だから読んでみなさい。」と。
私は、内心あきれていた。
内容は、子供向けでも文字は小さいし、350ページもある。
大人が読むにも、時間がかかるような本なのだ。
どうせ、娘は読む気がしないだろう。
わざわざ持ち帰った夫に文句を言う必要はないと思い、
「あら、よかったねぇ。」と一声かけて終わったつもりだった。
ところが、長女はその厚い本を読み始めた。
最初は、1ヶ月くらいかかったようだ。
そして、彼女は、何回も読み返した。
しばらくして、「お母さん、この本はいいから読んでみてよ。」と言い出した。
それまで、自分が読んだ本を私にも勧めたことはなかった。
有名な本だけど、バタバタした日々には読む気もしないような厚さだ。
でも、せっかくの娘の推薦図書だからと、読み始めた。
私は、これだけの本を最後まで読めるようになった娘の成長に、改めて驚いた。
さらに、彼女がそれまで読んできた本とは違う何かを感じとれる、その感性に驚いた。
ファンタジーと人の優しさ、それに哲学があった。
恵子にも、小学3年生の時に愛読書ができた。
文字通り、愛して愛して読んでいるのがわかった。
たかしよいちの『ライヤンツーリーのうた』(理論社)がそれだ。
1度、図書館から借りてよんだら、「また借りて来て。」という
リクエストが延々と続いたので、買うことにした。
長女のように、「この本はいいから読んでみて。」とは言わないが
あまりに毎日読み続けるので、私も読んでみた。
戦争を題材にした悲しい話だが、人の心の美しさを静かに伝えていた。
恵子が、それまで読んでいた本とは違う、何かがあった。
本を読んで感じとれるということは、人に会って感じとれること、
音楽や絵、自然に対して感じることにも繋がっていると思う。
我が家は、週末によくドライブに出かけた。
車中で、長女と空の美しさや雲の面白さを楽しんでいた。
でも、そういう会話は、当時の恵子の耳には入らなかった。
今、大学生の恵子を車で駅まで送りながら、2人でその日の空と雲に感激している。
この当たり前の日々の喜び。
歌や読み聞かせに全く反応をしめさなかった恵子さんでも
根気よく読み聞かせを続けると、愛読書ができたことはとても凄いことです。
本を読んで感じることができる心が、成長していたのですね。
本で心を育てたことで、身の周りの自然を感じることができるようになったことは
薫さんにとって、とても嬉しい事だったと思います。
まとめ
娘2人、特に恵子さんに愛読書ができるなんて
読み聞かせを始めた時は、思ったもみなかったことだと思います。
読み聞かせは、子供たちにつけたいさまざまな力をつけてくれる
最短の方法かもしれませんね。
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