日本各地で個展を開催している星先こずえさん
2歳の時に自閉症と診断された。
洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。
こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した
自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を
魅力的に表現しているのが、特徴です。
最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが
感じられる作品になっています。
このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った
母薫さんが記録した奇跡の成長記録(膨大な読書量)をご紹介します。
恵子にちょうどの本(膨大な読書量)
恵子にも長女と同じように、図書館の本を借り続けていた。
ところが、恵子にはいつまで経っても読む本と読まない本があった、
読む本は毎日のように繰り返し読むのに、読まない本には、目もくれない。
しかも、それらの本の違いが全くわからなかった。
同じような挿絵、ページ数、文字の量と大きさ。
いったいどこに、恵子の読む本と読まない本の区別があるのだろう。
彼女が小学3年生の1学期。
10冊ほど借りている本の中で、どの本を読んで、どの本を読まないのかを聞いてみた。
そして、やっとわかった!
恵子は、ゴシック体の太い文字で印刷されている本しか読みたくなかったのだ。
聴覚よりも視覚に敏感な自閉症らしいと、後年になって納得できた。
でも、当時は理屈なんて考えず、ただ「しめた!これで借りた本は
全部読んでくれるぞ。」と喜んだ。
私は、図書館に並んでいる児童書を『あ』の棚から順に
文字の太さをチェックしながら借りていった。
夏休みには、時間があるからたくさん読んでもらおうと計画した。
小学3年生の夏休みには、51冊読んだ。
あまんきみこや大川悦生などの60ページから80ページの本が中心だった。
おばけや怪獣の話が好きだった。
小学4年生の夏休みには、151冊。
木暮正夫やたかしよいちなど、100ページ前後の本。
矢玉四郎の『はれときどきぶた』(岩波書店)は、お気に入りだった。
感想や内容は、何も話してくれない。
本当に読んでいるのかと、私は読書中の恵子の目の動きを追っては、
ちゃんと読んでいるんだなぁと安心する。
小学5年生の夏休みは、300冊を目標にする。
暑い日にバスでせっせと通うので、あの疲れを知らない恵子が
「今日は、図書館に行くのはやめよう。」と言い出した。
本人は知らなかったが、その日は目標達成の日だ。
「恵子ちゃん、今日行けば300冊読んだことになるんだよ。」と声をかけると、
即賛成してくれて、無事目標を達成する。
それらの冊数は、図書館から借りた本の数だから、
図書館で読んでいる本や、繰り返し読んだ数を入れると、1000冊にはなるだろう。
すでに、私よりもずっと早く読めるようになっていた。
あぐらをかき、左側に積み上げた本を読んで、右側に積み上げるという読み方だ。
私は、「積読読書」と呼んだ。
小学5年生の後半には、新聞に目を通すようになり、
小学6年生には児童書を卒業して、大人の本のコーナーに行くようになった。
恵子さんが、一人で本が読めるようになることを願って始めた読み聞かせ。
期待以上に、本を読むことに夢中になり
本からさまざまな情報を自分から得ることが出来るようにあった。
本好きの土台ができたことで、恵子さんの世界が大きく大きく
広がっていったのですね。
まとめ
あぐらをかいて、両側に本を積み上げて夢中で読む恵子さんの姿が浮かびます。
読む速さも、薫さんよりも速くなっていき
読み聞かせからは、集中力や速読力、理解力などを
知らず知らずに身につけていけたのですね。
続きはこちらから
コメント