日本各地で個展を開催している星先こずえさん
2歳の時に自閉症と診断された。
洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。
こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した
自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を
魅力的に表現しているのが、特徴です。
最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが
感じられる作品になっています。
このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った
母薫さんが記録した奇跡の成長記録(嫌がってさせた日々)をご紹介します。
朝食には九九の歌を
上の子がいたので、小学2年生の2学期には算数の九九の勉強が始まることがわかっていた。
恵子が九九を覚えるのに最低1年はかかる、と予想した。
小学1年生の夏休みから、意識してスタートした。
始めるといっても、私が言った九九を、返して言ってくれはしない。れないのなら
口に出してくれないのなら、とにかく聞かせるしかない。
私は、朝食の時のバックミュージックとしてカセットデッキで
『かけざん わりざんのうた』(くもん出版)の「かけざんのうた(九九)」流すことにした。
「恵子ちゃん、朝ご飯ですよ~」という言葉と同時に、スイッチオンさせるだけのことだが
それを続けた。
1年が経ち、2年生の夏休みになった。
その間、何一つ反応がなかった。
「恵子ちゃん、九九を言ってみようかぁ」と声をかけるがいつもの「やだぁ!」が返ってきた。
私は試しに、いつも聞いている歌の調子で「にいちが2」と歌ってみた。
すると「ににんが4」と彼女が歌で返してきた。
「にさんが6」と歌うと、「にしが8」と返ってきた。
やはりインプットは、無駄ではなかった!
人の何倍も聞かないといけないし、アウトプットするのにも壁がある。
でも、決して無駄ではないのだ。
家族の拍手の中で、彼女は九九の歌を歌った。
もちろん、かけ算の理屈など本人は全くわかっていない。
何年もかけて、2+3=5、 2×3=6 と書けるようになった。
ただ書けるだけだが、それは素晴らしいことではないか。
書ければ、その先に進める。
ずっと先へ進んだ時に、やっと基本的なことが理解できるようになっていた。
恵子にものごとを理解させなければいけないと考えたら、1歩も進まない。
要するに「できることからさせる」、それだけ。
その上、恵子はできることが少ないから、悩むことも少なかった。
あと1つ。
「恵子が九九を覚えるのは無理だ。」と思えばその可能性はゼロになる。
「自分が、どう取り組んだらいいだろうか。」と考える時に初めて可能性が生じる。
私が諦めないかぎり、可能性はあるのだ。
小学2年生の2学期。
まだ多くの友達がうろ覚えの時に、恵子が教室で九九を言えたので
大きな拍手が起きたそうだ。
優しい級友がその母親に伝え、その優しい母親が私に伝えてくれた。
絵以外で、恵子が初めて褒められた時だった。
障害があっても覚えるまでの時間を十分に確保すれば覚えることができる。
でも、なかなか根気がなくて寄り添うことができない場合が多い。
だから、覚える前に諦めてしまう。
諦めずに、続ければ、必ず覚えたりできるようになるのだ。
まとめ
子供へのインプットに、無駄なことはない。
親が、諦めずに根気強く続ければ、健常児でも障害児でも
できるようになるのだ。
最近は、簡単に諦めてしまう親が増えている気がする。
子供に一番身近の親だからそこ、子供の一番の味方でいてあげたいですね。
続くはこちらから
自閉症と2歳で診断された切り絵作家星先こずえさん・くよくよしている暇はない(幼稚園~小学校)
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