自閉症と2歳で診断された切り絵作家星先こずえさん・母が記録した奇跡の成長記録(その4)

自閉症、入園入学式、お母さん 子育て
自閉症、入園入学式、お母さん

 

入園式と入学式

恵子の検診や病院に行く時には、なんとか無事に終えられるようにと、

せつに願いながら出かけたものだ。

その気持ちの最大のピークは、幼稚園の入園式だった。

自閉症の妹を、後年受け入れてもらえるかどうかを

確認してから、長女を入園させた。

長女の担任の先生や主任の先生たちとできるだけ親しく懇談しながら

母親の私を信頼してもらえるよう努めた。

と言っても、いつもニコニコしながら話すだけのことなのだが。

入園は決まったものの、人生で初めて迎える式典の場で、

恵子が私から離れて、おとなしくしているというのは、無理な話である。

私が恵子のそばにつき、一緒に行動できるよう幼稚園にお願いした。

入場行進は、列の一番後ろを一緒に入場し、恵子の横に私も座る。

入園式の間、恵子の動きを、私の周りだけにくいとめられて

ほっとしたものだ。

2年後の小学校の入学式でも、やはり心配だった。

自閉症児にとっては、苦手な全く新しい場所なのだから。

そのうえにこの時は、恵子のそばで私も一緒にという申し出は、却下された。

私は、恵子が入学式で座る椅子の場所を教えてもらい、そこに一番近い

保護者席を確保した。

体をフラフラさせながら座っている恵子の背中を見ながら

どうぞ立ち上がって動き出しませんように、と願うばかり。

入園式でも入学式でも、その先の生活は大丈夫だろうかという心配よりも、

まずは、その日を無事に過ごせるか、ということで頭がいっぱいだった。

それからずっと後のこと、恵子は中学1年生の時、初めて表彰されることになった。

市のスケッチ大会で銀賞を取り、全校生徒1000人の前での表彰だ。

たまたま、PTA役員の仕事で中学校に出向いていた私に、

担任の先生が表彰式を見ていくようにと、勧めてくれた。

先生は、何気なく言われたのだろうが、私の心臓はバクバク。

自分の名前を呼ばれた恵子が、スムーズに壇上へ行くだろうか、と。

恵子の絵が表彰されたことは、とても嬉しいが、私にとっては

無事に表彰式を終えたことのほうが、もっと嬉しいことだった。

まとめ

障害を持つ親として、入園式や入学式など人が集まる式典の時は

特に周りの迷惑をかけないかと、とてもハラハラしてるお母さんの気持ちが

読んでいて、強く伝わってきます。

障害児を持つお母さんは、毎日が戦い。その日が無事過ごせたことへの感謝は、

人一倍なのですね。

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