日本各地で個展を開催している星先こずえさん
2歳の時に自閉症と診断された。
洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。
こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した
自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を
魅力的に表現しているのが、特徴です。
最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが
感じられる作品になっています。
このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った
母薫さんが記録した奇跡の成長記録(自閉症児の不思議な世界)をご紹介します。
自閉症児の感覚
ドナ・ウィリアムが書いた『自閉症だったわたしへ』(新潮社)という本がある。
この中で、自分の体をほどよく締めつける機械を使うようになって
気持ちが安定したという、彼女自身の体験が書いてある。
恵子にとって、その機械に代わるものが段ボールの箱だった。
ごみ箱でも棚の中でもなかったが、恵子は段ボール箱を一番愛した。
何か荷物が送られてくると、恵子は中身を全部出して、その中に収まった。
ふたまで閉めて段ボールにこもり、私たちが忘れたころに満足そうな顔で出て来た。
体が大きく成長すると、段ボールには背中とお尻だけしか入らない。
それでも幸せそうだった。
そんな恵子が大嫌いなものは、トイレだった。
おもらし寸前になっても、嫌がって入ろうとしない。
「ヤダァ!」と叫ぶ恵子を、しかたなく引きずって連れて行った。
小学校の入学時に一番心配したのは、トイレに行きたがらないということだった。
中学生になって初めて、「昔はトイレが怖かったんだ。」と恵子が教えてくれた。
「狭い段ボールが大好きなのに、なぜトイレが怖いの?」と聞くと
「あの中途半端な広さが、怖かった。」そうだ。
ところで、自閉症児はヘッドホォンを使うのが好きだと聞いた。
全くその通りで、恵子は家に一人でいる時でもヘッドフォンで聴くのを好む。
「保健室の壁に『ヘッドフォンを長時間使うと疲れる』と書いてあった。
でも私は、自分が疲れているかどうかわからないんだよねぇ。」と
中学生の恵子がつぶやいていた。
ついでながら音楽に関して言うと、恵子ハメリハリのきいた、緊張感のある音が好きだ。
津軽三味線と沖縄の民謡のCDを買い与えると、予想通りすぐにはまった。
若いグループでは、B’sのパワフルな演奏が好きで、カラオケでは
気合の入った中島みゆきがお得意になった。
反対に、大嫌いな音楽の分野もあった。
スーパーマーケットでながれている、店のコマーシャルソングのような類は大嫌いである。
恵子が耳をふさぎ、駆け出して初めて私たちは耳をすまし
恵子に迷惑をかけている音が、流れていることを知る。
幼い頃には私の呼びかけすら耳に入らなかったというのに
ある種の音楽(あるいは音)に対する異常な過敏さは、どうしたことだろう。
不思議な人たちだ。
自閉症の症状、知らないことばかりです。
どんなことが好きで嫌いなのか。
奇声を発する時は、どういう時なんか。
自閉症児の症状を知ることは、理解することになる1歩になるでしょう。
まとめ
私は、「自閉症」という言葉は知っていたが
身近に障害児と接することもなかたので、自閉症の症状を全く知らなかった。
あえて、自分から知ろうということもしなかった。
知識を持って人が増えれば、自閉症児にとって優しい社会になるでしょう。
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