日本各地で個展を開催している星先こずえさん
2歳の時に自閉症と診断された。
洋画家である城戸佐和子に師事し、「切り絵作家」として活動を始めた。
こずえさんの作品は、クレヨンと絵の具でカラフルに彩色した
自作の和紙を使用して、障害の壁を超越した創造力豊かな世界を
魅力的に表現しているのが、特徴です。
最近では、素材として古布も使用し今までにないインパクトが
感じられる作品になっています。
このような作品を作れるようになるまで、こずえさんに寄り添った
母薫さんが記録した奇跡の成長記録(少しでも楽に勉強できる手助け)をご紹介します。
その時期のちょうど
恵子は、算数・数学が特に大嫌いだった。
毎日がスランプ状態なので、私は笑顔を振りまき知恵をしぼった。
公文の教材の段階ごとに、その時その時の恵子に合わせた「お助けグッズ」が必要だった。
「たす1」を勉強している時には、1+1 から 10+1 までの「たす1の表」を作り
プリントの横に置いて好きなだけ見てよし、とした。
「たす2」の時には、「たす2の表」を、たす3の時には「たす3の表」を用意した。
そのうちに教材の問題は、足す数字がバラバラとなり、たくさんの表から答えを探すのも
大変になってきた。
私は、1~30までの数字だけを書いた表を作った。
例えば、「3+5」という問題なら、まず3の上に指を置きそれから5移動させて、
答えの8を見つける、というやり方を覚えさせた。
たし算のお助けグッズが不審になっても、小学校の高学年までは指を使って
たし算をしていた。
でも、よく見ていると、指の動きがだんだん小さくなっていく。
最後の方は、ほんのかすかにピクッピクッと動いているだけだった。
いつもいつも、スモールステップだけど、確実にステップアップしていることを
感じとれるのが、私の強みだった。
かけ算の時にも、かけ算の表を用意した。
かける数字が11以上になると、たくさんの表が必要になる。
渡辺先生のアドバイスで、ます目の表を作った。
いちばん上段の横列には、1,2,3・・・・、左側の縦列には、11,12,13・・・・
と数字を書いた。そして、上段の数字と左側の数字をかけた答えを表の中に埋めていった。
この1枚の表で、かけ算の答えを見つけて、解答させるようにした。
「どうして、そこまで努力できたのですか?」と聞かれることがある。
恵子がなかなかしたがらないので、少しでも楽にできるようにと
スモールステップを準備してあげる他に方法がなかった、というだけ。
プリントを前にした恵子が、小さい手を握りしめ、机をドンドン叩き始めると
新たな作戦開始の合図になる。
行き詰った時は、渡辺先生に相談すればなんとか次の作戦が見つかった。
渡辺先生の「大丈夫ですよ、星お先さん。」と「こんなにされてみたらどうですか?」
のセリフを聞くと、私は元気になった。
問題は「恵子ができるか、できないか」ではなく「私がどうすればいいのか」なのだから。
恵子さんのために工夫を考え実行し、その結果、恵子さんが出来るようになっていく過程をみるこが
薫さんにとって、また楽しみの1つになっていたのかもしれませんね。
まとめ
お母さんが恵子さんのためにした工夫の数々は、健常児にも通じることです。
健常児でも、なかなかたし算やかけ算ができない子にとっては、工夫をしてあげることで
理解が早くなることもあります。
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自閉症と2歳で診断された切り絵作家星先こずえさん・恵子の気分に合わせた勉強(小学校)
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